ZigZag(ジグザグ) 価格の高値安値を表示~計算式をわかり易く解説~
公開日:2021年4月20日 更新日:2022年4月12日

要するにZigZagとは
- 特定期間のローソク足の高値と安値を線で結んだもの。ZigZagに見える
- トレンドかレンジかを判断できる
- 大まかな反転のポイントを見極めることができる
ZigZagは相場の流れを知ることができるインジケーターです。
チャートの高値と安値を結んだシンプルなラインで、その名の通り線がジグザグしているのが大きな特徴になります。
ZigZagは非常にシンプルなので、FX初心者でも比較的簡単に相場の流れを知ることができ、「今がトレンドなのか、レンジなのか」ということを視覚的に知ることができます。
FX初心者にとっては、トレンドかレンジかということを把握するのは非常に困難ですが、ZigZagを使えば非常に簡単です。
ZigZagの計算式や使い方について徹底解説していきます。
目次
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MT5

ZigZagの計算式
ZigZagはローソク足の高値と安値を線で結んだ折れ線グラフですが、「どこを高値とするのか」ということには一定のルールがあります。
ZigZagの頂点は次の3つの基準を満たした場合のみ決定します。
- Depth=一定以上の値幅を更新していること
- Backstep=一定以上の期間を超えていること
- Deviation=折り返した値幅が一つ前の頂点から頂点の値幅を一定以上の割合を更新していること
それぞれのイメージについては、下に用意した画像をご覧ください。
この3つルールは自分で決めることができます。
例えば次のように設定した場合
- Depth=12
- Backstep=3
- Deviation=5
は、次のような意味になります。
1月1日時点で105円をつけていたドル/円が値幅を12pips以上更新し、ロウソク足が3本以上並んだ後(日足で言うと、1/1が頂点とした場合、1/2、1/3、1/4までは頂点とならず、1/5以降のものが対象)価格が直前のラインの5%以上折り返したら頂点を付けるということになります。
*画像挿入[alt=ZigZagの頂点の決まり方]
下記画像のような画像を作成いただきたいです。
画像中にあるABCDEの文字はなしで大丈夫です。

ZigZag計算式の意味
ZigZagの頂点は指定した期間の最高値で、安値の場合は指定した期間の最安値になり、それをラインで結んでいます。
高値・安値の決まり方を分かりやすく解説すると次の通りになります。
ZigZagの高値の決まり方
- 現在の高値が『Depth(指定した期間)』の中の最高値であるとき
- その高値が直近の高値を『Deviation(指定した数値分)』更新したとき
- 安値が決まってから『Backstep(指定した期間)』以上経過している時
ZigZagの安値の決まり方
- 現在の安値が『Depth(指定した期間)』の中の最低値であるとき
- その安値が直近の安値を『Deviation(指定した数値分)』更新したとき
- 高値が決まってから『Backstep(指定した期間)』以上経過している時
これらの条件を満たした時のみ、ZigZagのラインの高値と安値が決定し、折れ線グラフが出来上がっていきます。
もちろん、人間の感覚で高値と安値を決めて結んでいるわけではなく、期間・数値・反転する判断に必要な期間の3つを明確に指定することによって、高い精度で相場の波やトレンドを見極めることができるようになっています。
期間や数値や反転する判断に必要な期間を詳細に決めることによって、かなり正確に高値や安値を判断することが可能です。
自分でローソク足などに線を結んでも、どこが高値で安値なのかの判断は難しいのが実際のところです。
しかし、ZigZagでは決められたルールのもとに、山と谷になるよう線を引くことができるので、投資の初心者の方でも、過去チャートの重要な抵抗線・トレンドの高値、安値のポイントなどを視覚的に分かりやすく設定することができます。
ZigZagの一般的な使い方
ZigZagはチャートに点在している波の高値と安値の頂点を自動で検出し、線で結んでくれるインジケーターです。
これによって、高値と安値を知ることができ、レンジかトレンドなのかを把握することにも役立ちます。
ZigZagの一般的な使い方は次の2つです。
- トレンドを知ることができる
- 他のテクニカルツールと一緒に使う
ZigZagの基本的な2つの使い方について詳しく解説していきます。
トレンドを知ることができる
ローソク足の高値と安値を線で結んでくれるZigZagはトレンドを知るのが非常に簡単です。
トレンド分析の基本的な考え方であるダウ理論ではトレンドの定義を次のように決めています。
- 高値、安値が両方とも切り上げていくことで上昇トレンドとなる
- 高値、安値が両方とも切り下げていくことで下降トレンドとなる
- 高値、安値の切り上げ、切り下げが逆転することでトレンドの転換となる
例えば「高値・安値を切り上げなくなった」という場合には、上昇トレンドからの転換のシグナルということです。
Zigzagでは、ジグザグのラインで高値と安値を視覚的に知ることができるので、「高値(安値)を切り下げたのか、切り上げたのか」ということを簡単に把握することができます。
ZigZagとダウ理論を使ってトレンドの方向性や転換点を把握するのが、ZigZagの基本的な使い方です。
他のテクニカルツールや理論と一緒に使う
ZigZagは他のテクニカルツールや理論と一緒に使うことで、他のツールや理論を使って分析する際に非常に分かりやすくなります。
主なものとしては次のようなものがあります。
- エリオット波動:値動きが上昇するときは5波動、下落するときは3波動で動く理論
- ストキャスティクスと組み合わせる:ストキャスティクスの売られすぎゾーンとZigZagの頂点を重ねてエントリーポイントを探す
この他にも様々なテクニカルツールなどと組み合わせることができます。
テクニカルツール単体だけを使用した場合には、だましも多いですが、ZigZagを使用して相場のトレンドを見極めることで、他のテクニカルツールの精度もアップする可能性は高くなるでしょう。
ZigZag設定値
ZigZagは次の3つの設定値を任意に決められます。
- Depth
- Deviation
- Backstep
それぞれの設定値の意味と数値の範囲について詳しく解説していきます。
Depth
*画像挿入[alt=Depth]

Depthとは、上の画像のようにZigZagが示す山(高値)と谷(安値)の値幅のことです。
Depthの数値が大きければ山と谷の間隔が長くなるので、ZigZagが示す山と谷の数は少なくなり、Depthの数値が小さければ山と谷の間隔が短くなり山と谷の数は多くなります。
直近高値と安値をざっくりと確認したい場合は数値を大きめに設定し、損切りのラインなどを細かく把握したいという場合には数値を小さくしておくのがよいでしょう。
基本的には12に設定されていることが一般的です。
Deviation
*画像挿入[alt=Deviation]

Deviationは上の画像に示したように、山(高値)と谷(安値)の転換率を示します。
つまり、数値を大きくした場合には、大きな高値更新をした時だけ反応し、小さくした場合にはたったの0.1pipsでも値段を更新した場合に反応します。
ここの数値はあまり動かさないのが基本で、デフォルトの設定では5となっています。
Backstep
*画像挿入[alt=Backstep]

Backstepは上の画像のように、反転する判断に必要な期間を示しています。
数字を小さくすると、イレギュラーな細かい動きにも反応し、大きくすると細かな動きでは反応しません。
ZigZagの数値は何が適切という決まりがありませんし、あまりに細かくしすぎるとだましにあう可能性も高くなってしまいます。
基本的にはデフォルトの設定で使用すれば問題ないでしょう。
相場感を知りたい時だけDepthを動かすという程度で十分でしょう。
ZigZagが示す売買ポイント
ZigZagはダウ理論やストキャスティクスなどを組み合わせて売買ポイントを探るのが一般的です。
ダウ理論と組み合わせる
トレンド分析の基本的な考え方であるダウ理論とZigZagを組み合わせた場合の売買ポイントは以下のようになります。
- 上下とも切りあげていたら上昇トレンド→買い
- 上下ともに切り下げていたら下降トレンド→売り
チャートの波を山と谷で分かりやすく表示してくれるのでトレンドを把握しやすく、トレントの波に乗りやすいのが特徴です。
また、高値、安値の切り上げ、切り下げが逆転することでトレンドの転換になるので、トレンドの転換点を知ることにもZigZagは役に立ちます。
ストキャスティクスと組み合わせる
ストキャスティクスの相場が加熱しすぎのサインは次のようにされています。
- 20のラインより下が売られすぎと→買い
- 80のラインより上が買われすぎ→売り
ストキャスティクスはレンジ相場では役に立つ指標ですが、相場がレンジを抜けてトレンドに入ってしまった場合には役に立たないこともあります。
このような時にストキャスティクスとZigZagを一緒に確認することによって、ストキャスティクスのだましを回避することができます。
ストキャスティクスと類似指標であるRSIやRCIも同じようにZigZagと併用することによって精度を高めることが可能です。
ZigZagの注意点・懸念点
ZigZagには次の注意点があります。
- 期間が短すぎるとだましにあう可能性がある
- 単体で使ってもエントリーポイント・エグジットポイントは分からない
ZigZagの2つの注意点についても詳しく解説してきます。
期間が短すぎるとだましにあう可能性がある
ZigZagの山と谷の間隔を決定する設定値であるDepthをあまりに短くしてしまうとだましにあう可能性があります。
期間を短くしすぎると、山と谷が現れるポイントが多くなりすぎるので、トレンドのサインを把握できない可能性があるのです。
ある程度期間を長くして、トレンドをしっかりと把握するということが重要になります。
単体で使ってもエントリーポイント・エグジットポイントは分からない
ZigZagは長い感覚に設定し、トレンドを把握することに長けたツールです。
しかし、その分、どこでエントリーやエグジットをすべきなのかという明確なポイントを知ることはできません。
ZigZagだけでは詳細な売買ポイントを知ることが難しいので、ZigZagはストキャスティクスなどの他のインジケーターと併用して使うことを頭に入れておきましょう。
ZigZagの成り立ち
アーサー・A・メリル
Arthur A. Merrill
考案者
種類
トレンド系
歴史
アーサー・A・メリルによって1977年に発表されたテクニカル指標
ZigZag豆知識
ZigZagの豆知識をいくつかご紹介していきます。
メリルパターン
高値と安値を直線で結んでいくことでジグザグの線ができるのでZigZag(ジグザグ)という名称のテクニカル指標です。
メリルがZigZagを発表した理由は価格変動パターンの研究のためです。
メリルはZigZagを使って価格変動のパターンをMとWの文字に似た2つのカテゴリに分け、それぞれの16のカテゴリに分けています。
これをメリルパターンと言います。
ZigZagの意味
日本語で当たり前のように使われているジグザグという言葉ですが、実はジグザグは英語のzigzag(意味:Z字形・稲妻形)から来ている外来語です。
さらに英語のzigzagは、フランス語のzag(意味:鋸のこの歯)に由来しているというのが定説です。
フランスでzagを繰り返した言葉として、zigzagという言葉が誕生したものと考えられています。
またドイツ語にもzickzack(意味:ジグザグ)という言葉がありますが、これはzacke(意味:歯・剣)を繰り返して誕生した言葉であると考えられています。
ちなみにそれぞれの国での言葉の誕生年は次の通りです。
- 英語のzigzag:1712年
- ドイツ語のzickzack:1703年
- フランス語のzigzag:1670年代
つまりzigzagはフランス語から世界中に広がった言葉で、今や日本語となり、インジケーターの名称としても使用されています。
ZigZag類似インジケーター
フラクタル
- 相場の山・谷をチャートに表示するインジケーター
- トレンドラインの起点選びなどに利用できる
- 発生すると、ローソク足の上下に「上向きの矢印」「下向きの矢印」が表示される
RSI
- 特定期間の上昇幅と下落幅の合計に対して、上昇幅の合計がどれくらいの割合かを表したもの
- 一般的に「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するために使われる
- 上昇トレンド・下降トレンドの判断にも利用できる
ストキャスティクス
- 特定期間について、最安値~最高値における現在値の相対的な位置を0~100%で示したもの
- 買われ過ぎ、売られ過ぎを把握し、トレンドの反転を素早く捉えられる
- 柔軟性の高いインジケーターで、丁寧なバックテストでダマシの頻度が少ないパラメータを検証することが大切
ZigZagが使えるFX/証券会社
FX会社
- GMOクリック証券
- FXプライムby GMO
- JFX
- YJFX!
- ヒロセ通商
仮想通貨取引所
- GMOコイン
- DMM Bitcoin
- bitbank
GMOはZigZagが使える取引所として有名ですが、その他はそれほど多くありません。
Trading ViewやMT4・MT5でZigZagを使用しているという人が圧倒的に多くなっています。
ZigzagはMT4・MT5で使えるか
ZigZagはMT4に標準搭載されています。
左上の「表示」タブから「ナビゲータ」→「インディケータ」の順にクリックし、「ZigZag」をダブルクリックすることでチャートに表示されます。
なお、インディケータの中に「ZigZag」がないという方は外部からダウンロードし、MT4内に取り込む必要があります。
MT5でもZigZagは標準搭載されているので、非常に簡単に使うことができます。