株におけるMACDの見方・使い方!おすすめ設定や株アプリも紹介
公開日:2022年4月4日 更新日:2022年5月13日
目次
MACDとは?

上の画像では、ソニーグループ(6758)の日足の株価チャートにMACD(マックディー)を表示しています。
見ての通り、MACDは2本のラインとヒストグラムからなるインジケーターです。
MACDの正式名称は「Moving Average Convergence Divergence(移動平均収束発散法)」で、長短2本の移動平均線の収束(近づくこと)と発散(離れること)に注目する形で開発されました。
移動平均線はトレンドを捉えるために使用される、いわゆるトレンド系インジケーターですが、反応が遅れるという弱点があります。
MACDはこの移動平均線の弱点を改善する形で進化しており、トレンドを素早く捉えられるのが大きな特徴です。
また、トレンドを捉えるだけでなく、相場の過熱感を読み取るオシレーター系インジケーターとしての性質も持っており、使い道が幅広いところもあります。
今回は、株価を分析する上で使い勝手の良いMACDについて、全体像が分かるように丁寧に見ていきましょう。
MACDの計算式と意味

上の画像で示しているように、MACDは「MACD線」「シグナル線」「ヒストグラム」という3つの要素で構成されます。
それぞれの値を算出する計算式は以下の通りです。

MACD線 = 短期EMA(X期間) – 長期EMA(Y期間)
シグナル線 = MACD線のEMA(Z期間)
ヒストグラム = MACD線 – シグナル線
X/Y/Z:パラメータ、EMA:指数平滑移動平均
簡単にそれぞれの意味合いを解説すると、MACD線は長短2本のEMAというタイプの移動平均線の値幅を示しています。
このMACD線のEMAがシグナル線で、MACD線とシグナル線の値幅を示しているのがヒストグラムです。
なお、EMAではどういった計算が行われているかなど、計算式により詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
MACDの計算には短期EMA・長期EMA・シグナル線という3本のEMAが出てきますが、それぞれの期間はパラメータとして調整することができます。
一般的によく使われるパラメータ設定は以下の組み合わせです。
短期EMA | 長期EMA | シグナル線 |
12 | 26 | 9 |
チャートツールのデフォルト値もこのように設定されている場合がほとんどで、最初はこの組み合わせを使用するのが無難でしょう。
ただし、必ずしもこれがベストというわけでもないため、バックテストで検証をした上でパラメータ設定を調整しても問題ありません。
このテーマの詳細については、以下の記事で触れているので併せてご覧いただければと思います。
MACDの見方・使い方を株価チャートで解説
MACDにはさまざまな見方、使い方がありますが、ここでは基本となる以下の3つを紹介します。
- MACD線とゼロラインのクロス
- ゴールデンクロスとデッドクロス
- ダイバージェンス
なお、これらの使い方の詳細な意味については以下の記事で解説しています。こちらも併せて確認すると、理解がより深まるのでおすすめです。
では、それぞれについて、株価チャートを使いながら解説を行っています。
MACD線とゼロラインのクロス

上の画像は、オリックス(8591)の日足の株価チャートにMACDを表示し、MACD線がゼロラインとクロスしたところを白丸で示しています。
このサインの条件を整理すると以下のようになります。
- MACD線がゼロラインを下から上に追い抜くと買い
- MACD線がゼロラインを上から下に追い抜くと売り
上の画像の「売り」の後に株価は下落が続く形、「買い」の後に株価は上昇が続く形となっており、このサインが有効に機能していることが分かります。
このサインについて補足すると、MACD線がゼロラインとクロスするということは、MACD線の値がゼロとなり、プラスとマイナスが入れ替わるということです。
MACD線の値がゼロというのは「短期EMA = 長期EMA」の状態であり、MACD線とゼロラインがクロスするときは短期EMAと長期EMAもクロス(EMAのゴールデンクロス・デッドクロス)していることになります。
移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスはトレンド発生のサインとして有名ですが、実はMACD線とゼロラインのクロスはこれと同じ意味を持っているわけです。
なお、移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスが分からない場合は、以下の記事で確認していただければと思います。
ゴールデンクロスとデッドクロス

MACDで最も定番のサインはゴールデンクロスとデッドクロスです。
上の画像は先ほどと同じ株価チャートですが、MACDのゴールデンクロス・デッドクロスが発生したところを白丸で示しています。
このMACDのゴールデンクロス・デッドクロスの具体的な条件は、以下の通りです。
- ゼロラインよりも下で、MACD線がシグナル線を下から上に追い抜くと買い(ゴールデンクロス)
- ゼロラインよりも上で、MACD線がシグナル線を上から下に追い抜くと売り(デッドグロス)
上の画像を見てみると、株価の下落トレンドの序盤で「売り」、株価の上昇トレンドの序盤で「買い」となっており、このサインが有効に機能していることが分かります。
このサインについて補足すると、例えばゴールデンクロスであれば、MACD線のEMAであるシグナル線をMACD線が下から上に追い抜くと、MACD線が上に伸びやすいと考えます。
ゼロラインよりも下でこれが起こると、MACD線が上に伸びてそのままゼロラインとのクロスも起こることが予測されるというイメージです。
このMACDのゴールデンクロス・デッドクロスは、移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスと同じ意味を持つMACD線とゼロラインのクロスよりも先に起こります。
すなわち、MACDを使うことで、株価のトレンドの発生をより早く捉えることができるということです。
同じ株価チャートですが、MACDのゴールデンクロス・デッドクロスが発生するタイミングは、MACD線のゼロラインのクロスが発生するタイミングより少し早くなっているので、両者を見比べて確認してみてくださいね。
ダイバージェンス

上の画像は、楽天グループ(4755)の日足の株価チャートにMACDを表示し、ダイバージェンスが発生したところを白矢印で示しています。
ダイバージェンスとは、株価が上昇・下落しているのにMACDが下落・上昇しているという形で、株価とMACDの間で起こる逆行現象のことです。
これはオシレーター系インジケーターにおける定番のサインで、トレンド転換の兆候を示唆するものとして捉えられます。
実際に上の画像においても、株価が高値を切り上げているのに、MACDは高値を切り下げるダイバージェンスが発生した後に、株価が上昇から下落へと流れが大きく変わっています。
なお、ダイバージェンスからはトレンド転換の可能性が読み取れますが、必ずトレンド転換が起こるとは限りません。
勢いの強いトレンドにおいては、ダイバージェンスを繰り返しながらトレンドが継続することもあります。
ダイバージェンスは参考情報の一つとして有用ですが、それ単独でトレード根拠としない方が無難かもしれません。
以上、MACDの基本的な使い方を解説してきましたが、以下の記事ではこれ以外の使い方についても幅広く紹介しています。興味のある人は、ぜひチェックしてみてください。
MACDで株価チャート分析を行う際の注意点
MACDは株価チャート分析を行う上で有用なインジケーターですが、以下のような弱点もあります。
- ダマシが発生しやすい
- パラメータ設定の調整が難しい
では、それぞれについて細かく解説を行っていきます。
MACDをしっかり使いこなすためにも、これらの注意点はしっかり押さえておくようにしましょう。
ダマシが発生しやすい

上の画像は、小松製作所(6301)の日足の株価チャートにMACDを表示して、ゴールデンクロスが発生したところを白丸で示しています。
「買い」と示したところが2ヶ所ありますが、その後は上昇が継続せずにいずれもダマシに終わった形です。
MACDはトレンドが発生したと判断するタイミングが早いため、このようにトレンドにつながらない動きでもサインが出てしまうことがあります。
また、上の画像の四角で囲んだところでは、MACD線とシグナル線が細かくクロスを繰り返しています。
株価の上下動がジリジリとしている場合、こういった形でMACDがうまく機能しないこともあるので注意が必要です。
MACDは合った相場において非常に良いトレードタイミングを示す一方、合わない相場ではうまく機能しないことになります。
MACDを使いこなす上では、MACDの使いどころを見極めることが非常に大切と言えるでしょう。
パラメータ設定の調整が難しい
MACDの計算式には3つのEMAが出てきますが、これらの期間を調整することでMACDの各構成要素の動き方は変わります。
同じMACDであってもパラメータ設定が変わればサインの出るタイミングが異なるわけで、トレード成績にも大きな影響が出るでしょう。
これは、MACDはどんな相場にも対応できる柔軟性があるというメリットとも捉えることができます。
しかし、同時にMACDを本当に使いこなす上では、分析対象や手法に合わせてパラメータ設定を調整する必要があるということで、難易度が上がるという側面もあります。
もちろん基本的には既に紹介した一般的なパラメータ設定を使えば問題ありません。
しかし、MACDをより使いこなしていく上では、自分に合ったパラメータ設定を探す必要があるかもしれないということも、頭に入れておきたいところです。
なお、その際には以下の記事などを参考にしながら、バックテストで検証を行うことをおすすめします。
MACDが使える株アプリ
MACDは株価チャート分析において人気のインジケーターで、多くのスマートフォンの株アプリでも使用することが可能です。
ここでは、MACDが使用できる株アプリを2つ紹介しておきます。
SBI証券 株アプリ

上の画像では、SBI証券の株アプリ(Android版)で日経平均株価の日足チャートにMACDを表示しています。
緑ラインがMACD線で、黄ラインがシグナル線で、ヒストグラムは赤と青で表示される形です。
楽天証券 iSPEED

上の画像では、楽天証券のiSPEED(Android版)で、日本郵船(9101)の週足の株価チャートにMACDを表示しています。
紫ラインがMACD線で、緑ラインがシグナル線です。(こちらのアプリでは、ヒストグラムは省略されています。)
このように多くの株アプリでもMACDが使えるようになっており、MACDは株式トレーダーにとって身近なインジケーターと言えるでしょう。
まとめ:MACDを使ってトレンドを捉えよう
今回は、MACDを使った株価チャート分析の進め方について、基本的なところを一気に解説してきました。
さまざまな面を解説してきましたが、やはり最も定番のMACDにおけるゴールデンクロス・デッドクロスをしっかり押さえていただければと思います。
MACDを使うとトレンドを捉えやすくなり、トレンドに乗ったトレードがしやすくなるはずです。
まだMACDを試したことがないという人は、一度試してみることをおすすめします。
なお、MACDについてもっと詳しく知りたいという人向けに、以下の記事ではMACDを網羅的に解説しています。
興味のある人は、ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。